日本歴史地名大系 「大口文命堤」の解説 大口文命堤おおくちぶんめいてい 神奈川県:南足柄市大口文命堤酒匂(さかわ)川扇状地の足柄平野開発のために築かれた堤防。南足柄市怒田(ぬだ)・班目(まだらめ)、足柄上(あしがらかみ)郡開成(かいせい)町金井島(かないしま)にかかる。慶長年間(一五九六―一六一五)に大口・岩流瀬(がらぜ)・春日森(かすがのもり)の三堤が小田原藩主大久保忠隣の命で築かれた(宝永四年「大川通り惣堤間数改帳」足柄上郡大井町酒井文書)。酒匂川の水流を春日森堤で川村岸(かわむらきし)(現足柄上郡山北町)の河岸段丘に、続く岩流瀬堤(現山北町)で怒田村の千貫岩(せんがんいわ)に当て、方向と水勢を二段階に制御し、大口堤を守るという設計であった。これらの工事で足柄平野を乱流していた酒匂川の流路が確定し、旧河川敷などの耕地化が急速に進められ、金井島村では天正一九年(一五九一)から万治元年(一六五八)にかけて約三倍の五九町一反余に増加している(「金井島村検地帳」開成町瀬戸文書)。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by