大城御嶽(読み)うぷぐふうたき

日本歴史地名大系 「大城御嶽」の解説

大城御嶽
うぷぐふうたき

[現在地名]平良市狩俣

狩俣かりまた集落の後方部にあり、聖地の杜山を背にする。西にニスヌヤームトゥ(北の家元)、ナーマムトゥ(仲間元、仲間御嶽とも)が並ぶ。地元ではウプグフムトゥという。狩俣第一の御嶽で、狩俣の最高神女アブンマが祀る。敷地の北側に女性神役が神を祀り祭儀を行う家屋、南側に男性たちが祭儀を行う家屋(いずれも木造でセメント瓦葺)が建っている。二つの建物の間はほぼ長方形の庭で(五〇平方メートルほどか)、重要な祭儀空間。祭神は御嶽由来記に「女神、豊見赤星てたなふら真主」(高名なる太陽ナフラの真主)とあり、「琉球国由来記」は「豊見赤星テタナフラハイ主」とする。口碑では女神ティラヌプズ(テラの大按司)、男神アサティダ(父なる太陽)という。御嶽の機能は「船路の為并諸願ニ付狩俣村中崇敬仕」とあり(御嶽由来記・「琉球国由来記」)、航海守護と平安・豊饒をもたらすことにある。御嶽創設の由来は御嶽由来記および口碑ともに異類婚姻譚を伝えるが、前者によれば、豊見赤星テダナフラ真主は天降りして大城山に居を定め、暮していた。ある夜若い男と交わる夢をみて懐妊、七ヵ月後に男女二人の子を産んだ。父親の知れない子なので初めて出会う者をその子らの父親にしようと決めて外出したところ、山の前の大岩にはい掛かった大蛇が子供を見て舞い踊るように動いた。あの夜の夢の男はこの大蛇の変化したものであったと知った。その人(子供)から狩俣かまた村は始まったという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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