大学事典 「大学ブランド化」の解説
大学ブランド化
だいがくブランドか
shaping the university brand
大衆化にグローバル化が加わり,消費者には機能や品質がますます区別し難くなった「商品」化した大学が,自己を他大学から差別化しようとする試み。かつてブランド化の有力な方法は,たとえばアメリカ大学協会のような大学らしい大学のギルドへの仲間入りであり,おもに大学関係者の間に通用する差別化であった。現在のブランド化は,留学生を含む志願者をターゲットとして,大学や国家機関が取り組む大学や国家の教育のイメージ作り,その根拠の整備が中心である。イメージを重視するため,問題を伴いやすい。紳士的なブリティッシュ・カウンシルでさえ,自国の会社が実施した世界大学ランキングの一部を根拠に,自国のナショナル・ブランドの特徴を,世界最高水準の大学の3分の2がイギリスに所在する点だと説明する(母数の取り方で大きく変化する)。客観性を誰よりも強く自覚すべき大学という「商品」に対し,ブランド化が逆機能する可能性を警告することはとくに重要である。
著者: 立川明
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報