朝日日本歴史人物事典 「大浦慶」の解説
大浦慶
生年:文政11.6.19(1828.7.30)
幕末明治期の女性茶貿易商。長崎油屋町生まれ。家業は数代続いた油屋で,貿易への転機は油屋へ油を求めにくる居留地商との付き合いで外国の魅力に引かれたのがきっかけといわれる。嘉永6(1853)年オランダ人商人テキストルから外国人の茶の好みを聞き,いくつかの嬉野茶の見本を英,米,アラビアへ送った。3年後英国人商人オールトが巨額の注文を持ってきたのに対し,ようやく1万斤を買い集めて渡した。また肥後藩士遠山一也に煙草取引を頼まれ仲介したが,遠山が違約したので,慶は外国商より訴えられたが,弁償金6000両を払って一件落着。油屋町の屋敷の2階には大隈重信らの部屋があったといわれ,坂本竜馬の海援隊にも援助をおしまなかった。茶箱に隠れてインドへ渡ったなどのエピソードもある。茶輸出の功績で農商務卿より金20円を賜る。<参考文献>『大浦慶一件書類』
(武野要子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報