大為爾(読み)タイニ

デジタル大辞泉 「大為爾」の意味・読み・例文・類語

たいに〔たゐに〕【大為×爾】

仮名文字を習得するための、同じ仮名二度用いないで47字全部を使った五・七調の歌。「あめつちのことば」に次いで作られ、「いろは歌」に先行するものと考えられている。源為憲みなもとのためのりの「口遊くちずさみ」にみえる。「たゐにいて(田居に出で)なつむわれをそ(菜摘む我をぞ)きみめすと(君召すと)あさりおひゆく(あさり追ひ行く)やましろの(山城の)うちゑへるこら(打ち酔へる子等)もはほせよ(藻は干せよ)えふねかけぬ(え舟繋けぬ)」

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精選版 日本国語大辞典 「大為爾」の意味・読み・例文・類語

たいにたゐに【大為爾】

  1. 〘 名詞 〙 詞章の形に整えられた字母表の一つ。万葉仮名四十七文字を重複しないように用いた五七調の歌。源為憲の「口遊(くちずさみ)」(九七〇)に載せる。「あめつち天地)の詞(ことば)」につぎ、「いろは歌」に先立つものとされる。歌詞は、「大為爾伊天(田居に出で)、奈徒武和礼遠曾(菜摘むわれをぞ)支美女須土(君召すと)、安佐利於比由久(あさり追ひゆく)也末之呂乃(山城の)、宇知恵倍留古良(うち酔へる児ら)、毛波保世与(藻は干せよ)、衣不禰加計奴(え船繋けぬ)」というもの。

大為爾の補助注記

一説に、四十七文字は確実とはいえず、現存本で「於」を脱しているのが原姿とすれば四十六音になるし、もし最後にヤ行の「江」を書写の過程で落としたとすれば四十八文字になる可能性もあるという。

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