内科学 第10版 「大腸悪性リンパ種」の解説
大腸悪性リンパ種(大腸悪性腫瘍)
大腸の悪性リンパ腫は消化管原発の悪性リンパ腫の約15%を,また大腸悪性腫瘍の0.1〜0.5%を占め,回盲部や直腸に多い.男性に多く,50歳以上に好発する.組織学的にはB細胞性がほとんどで,まれにT細胞性,NK 細胞性が存在する.B 細胞性の中ではびまん性大細胞型リンパ腫とMALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫が多い.
臨床症状
出血,腹痛,狭窄症状,腫瘤触知などであるが,寝汗,発熱,体重減少などで発見されることもある.
検査成績
注腸造影検査,下部消化管内視鏡検査では,小さなリンパ腫は立ち上がりが緩やかな粘膜下腫瘍の所見がみられる.大きな悪性リンパ腫の特徴として,腫瘤陰影の大きさのわりに壁の進展性が保たれ管腔の狭小化が軽度であること,腫瘍表面が比較的平滑であることがあげられる.下部消化管内視鏡検査での生検で病理組織学的に診断する.また,CTにより全身のリンパ節の腫脹の有無を検索しておく.
治療
腸管および局所リンパ節に限局しているステージI,Ⅱ1期では,一般的に外科的切除と術後の補助化学療法が選択される.進行期(ステージⅡ2,ⅡE,Ⅳ期)のものは基本的に化学療法を行う.放射線治療が併用されることもある.腸管悪性リンパ腫の病期分類として用いられるLugano分類を表8-5-16に示す.[松山貴俊・杉原健一]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報