太陽嵐(読み)タイヨウアラシ(その他表記)solar storm

デジタル大辞泉 「太陽嵐」の意味・読み・例文・類語

たいよう‐あらし〔タイヤウ‐〕【太陽嵐】

非常に強い太陽風に伴う電磁波放射線プラズマが、地上の電力施設や地球近傍の人工衛星宇宙ステーションなどに被害をもたらす現象

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「太陽嵐」の意味・わかりやすい解説

太陽嵐
たいようあらし
solar storm

太陽表面での爆発的現象であるフレアにより発生する大規模かつ高速で高エネルギーのプラズマ(電離ガス)や荷電粒子、電磁波の流れ。それらによって地球表面近傍での人工衛星の動作障害や地上での電波障害停電などの甚大な被害が引き起こされることがある。1989年の太陽嵐では、カナダケベック州で600万戸の停電が起きている。そのため、人工衛星などによる太陽の常時観測が続けられ、太陽嵐の発生予測技術の研究が進められている。通常でも太陽風という形で、太陽フレアから発生した荷電粒子などが地球に届き、オーロラなどの現象を引き起こしている。太陽嵐は、太陽風よりも格段に規模が大きい。さらに、そのフレアの数十倍から数万倍の規模のスーパーフレアが、太陽以外の恒星で観測され(恒星フレア)、最近の研究から、太陽でも同様のスーパーフレアが発生する可能性が指摘されている。

[編集部 2023年7月19日]

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知恵蔵mini 「太陽嵐」の解説

太陽嵐

非常に大規模な太陽フレア(太陽表面での爆発現象)により、電気を帯びた粒子や電磁波などが大量に放出されたもの。通常の太陽活動による「太陽風」の大きなものといえ、普通起こらない低緯度でのオーロラの発生や、人工衛星・地上の電力網・通信網に障害を起こすことがある。米海洋大気局(NOAA)では、太陽嵐による磁気の乱れ(磁気嵐)をG1~G5に分類している。2番目に強いG4の磁気嵐は直近で2013年に発生しており、G5クラスの磁気嵐は稀で10年以上前に観測されている。15年3月17日には、G4の磁気嵐が発生したことがNOAAより発表され、18日未明、日本で04年11月以来となるオーロラが北海道のなよろ市立天文台で観測された。 

(2015-3-23)

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