フレア(読み)ふれあ(英語表記)flare

翻訳|flare

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フレア」の意味・わかりやすい解説

フレア
ふれあ
flare

太陽コロナ中でおこる爆発現象。爆発のエネルギーは磁場のエネルギーによると考えられている。コロナ中に伸びている磁力線は複雑に絡み合い、向きが異なる2本の磁力線がぶつかって磁力線のつなぎ替えがおこり(磁場の再結合)、そのとき発生した磁場のエネルギーがコロナプラズマを数千万℃に加熱したり、イオンや電子を光速近くまで加速させる。放出されるエネルギー量は10の20乗~25乗ジュール(全人類が現在使用しているエネルギー量の1年~10万年相当)である。フレアが発生すると高エネルギーの放射線や強いX線紫外線太陽風が惑星間空間に放出され、科学衛星の機器に障害を与えたり、宇宙空間での船外活動の障害となる。これらのX線、紫外線は地球大気にも影響を与えて、電離層を乱してデリンジャー現象(短波電波の通信障害)をおこす。また、太陽風が地球に到達すると、オーロラを発生させたりする。フレアの発生は複雑な磁場領域で発生することはわかっているが、まだその予報は完成していない。なお、太陽以外の恒星観測が進むうちに、表面爆発は他の恒星でもおきていることがわかり、それら全般をフレアとよぶようになった。そこで太陽のフレアを太陽フレアとよんで区別することもある。

[日江井榮二郎]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フレア」の意味・わかりやすい解説

フレア
flare

(1) 光学器械の内部のレンズやプリズムの面で光の一部が反射され,これが結像しないでかぶりを生じる現象。 (2) 太陽彩層の一部が爆発的に噴出する現象で,太陽面爆発ともいう。数分の間に急激に増光し,寿命は数分から数時間程度である。大きさは黒点ぐらいで,黒点群の周辺の活動的な領域に多い。水素の Hα 線などの単色光で見やすい。黒点領域の磁場のエネルギーが電磁波の放射エネルギーや荷電粒子の運動エネルギーに急速に変換されていく過程と考えられる。フレアが発生すると電磁波により地球の電離層が乱され,デリンジャー現象が起り,数日後にはフレアにより放出された荷電粒子のために磁気嵐などが生じる。太陽以外の普通の恒星では,距離が遠いために太陽面で起る程度のフレアは観測できない。しかし,星間物質から生れ,主系列へ向う途上にある非常に若い星の表面では,大規模なフレアの発生を星のスペクトルや光度変化の観測から知ることができる。これらは閃光星,フレア星,おうし座T型変光星などと呼ばれる。

フレア
flare

赤外線を追尾するミサイルに対して誤誘導させる目的で放射する強い赤外線。航空機エンジンから放射される赤外線に近似している。このフレアは,マグネシウムと硝酸ナトリウム系の混合物を燃焼させてつくり,瞬間的に燃焼温度が 2000~2400Kの高温となり,広帯域の赤外線スペクトル分布を作り出すことができる。

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