奥早野村(読み)おくわさのむら

日本歴史地名大系 「奥早野村」の解説

奥早野村
おくわさのむら

[現在地名]智頭町奥本おくもと

宇丹うに村の西方に位置し、奥本川の上流域に集落が発達する。備前街道が通り、美作国境黒尾くろお(馬桑峠)までは二六町。享保一六年(一七三一)の因府ヨリ備前岡山海道記(因州記)には当村に入ると「是ヨリ右ノ河無シ。谷の細水ノミ流」れとあり、「左エ付テ国境ノ峠ニカカル。此峠ハ名高キ馬桑ト云坂也。右ノ方、谷間山田少有。海道トノ間ニ小キ谷河流。此ヨリ峠マテ人家ナシ。次第次第前上リノ難所也。此山上マテ因州之内也」と馬桑まぐわ峠について記す。古くは奥本川の下流に位置する口早野くちわさの村と一村早野わさのと称していた。元亨元年(一三二一)六月二二日、東六郎盛義の所領「千土師郷東方上村三分一」が称名しようみよう(現神奈川県横浜市金沢区)に寄進されたが(元徳元年一二月二日「関東下知状案」金沢文庫文書)、そのうちに「早野村」などが含まれており(嘉暦四年七月一〇日「兼久請取状案」同文書)、同所は郷内では能所(生産力の高い地)であった(同年八月二二日「大江顕元書状」賜蘆文庫文書所収称名寺文書)

藩政期の拝領高は一一六石余。羽田氏の給地があった(給人所付帳)天明六年(一七八六)の智頭郡下札帳(石谷家文書)によると朱高一二七石余、毛付高一五三石余、本免五ツ九分、同年の物成高七九石余、ほかに藪役銀一七匁三分が課されていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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