家庭医学館 「女性性器の損傷」の解説
じょせいせいきのそんしょう【女性性器の損傷 Injury of Genitalia】
交通事故などの大きな外傷や、手術・分娩(ぶんべん)による損傷を除けば、日常生活での「けが」による女性性器の損傷は、外性器といわれる外陰部(がいいんぶ)・腟(ちつ)までの部位に限られます。
しかし、クリトリスや腟の周囲は血管が豊富で、少しの傷でも多量の出血がおこりやすく、また、外からの細菌感染もしやすいので、安易に考えないほうがよいでしょう。
[原因]
とくに、小さい女の子が転倒したとき、あるいはなんらかのはずみでぶつけたときや、また、粗暴な性交、異物の挿入などで損傷することもあります。
[検査と診断]
視診(ししん)によって、出血部位は簡単に診断できますが、損傷が腟におよぶ場合は、外への出血は少なくても内出血していることがありますので、腟鏡(ちつきょう)という器具を用いて検査します。また、大きな損傷の場合は、そばにある膀胱(ぼうこう)や直腸などが損傷していないかどうかの検査も必要です。
[治療]
傷が浅く、小さく、出血の少ないものでは、縫合(ほうごう)は不要です。そうでないものは縫合しますが、いずれの場合も、感染予防のために抗生剤あるいは軟膏(なんこう)が処方されます。さらに、その後の消毒もたいせつです。