奴隷的拘束および苦役からの自由(読み)どれいてきこうそくおよびくえきからのじゆう

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

奴隷的拘束および苦役からの自由
どれいてきこうそくおよびくえきからのじゆう

何人(なんぴと)も人間としての尊厳を傷つけられるほどの束縛は受けない旨日本国憲法(18条)に保障された基本権。南北戦争後に規定されたアメリカ合衆国憲法(修正13条1項)に由来する。具体的には、人身売買監獄部屋のような奴隷的ともいえる身体的拘束のほか、そこまでは至らない程度の、意思に反して強制される労役(たとえば、明治憲法下の国家総動員法が定めた国民徴用のような制度)などが禁じられる。これらの一部は、民法(90条)で公序良俗違反の法律行為として、労働基準法(5条)で強制労働として、刑法(220条)で逮捕監禁として禁じられてもいる。しかし、非常災害時に課される労務負担は、災害を防ぎ被害者を救うという緊急目的上不可欠であるために、禁じられた「苦役」にはあたらないと解されている(災害対策基本法65条、災害救助法24条など)。なお、これらの侵害に対する救済のために人身保護法が制定されている。

[佐々木髙雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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