人身売買的な方法で手にいれた労働者を,特定の居住設備に単身で長期間拘禁して自由を奪い,私生活を含めた全生活管理を行い,囚人労働に等しいやり方で強制労働させ,逃亡には残虐な私刑でむくいる,といった労働者管理のしくみ,またはその居住設備のこと。たこ部屋ともいう。金属鉱山での飯場制度,炭鉱での納屋制度に対して,土建業のものを指す場合と,この3者の総称として批判的価値観を含ませて使う場合とがあるが,総称としては飯場制度の語が一般的である。このような制度は,資本主義発達の初期には,そのころ多数生じた浮浪者や困窮した農民を供給源にして,比較的熟練を要さない分野で広く世界にみられたが,日本の場合は,とくにその改善が遅れ,第2次大戦後もなお存在した。その性格については,封建的なものが残存した結果と考える見解と,近代社会で新たに〈開発〉されたものと考える見解とがある。
→飯場制度
執筆者:東条 由紀彦
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…人道主義的立場からの囚人労働廃止運動が一つの契機であったことは否めないが,より根本的には,囚人労働の利用に代わる新しい技術,労務管理体制の整備がその要因であったと考えられる。また新しく編成された納屋制度(〈飯場制度〉の項参照)や監獄部屋のなかに,囚人労働の特徴であった拘禁性や労働条件の劣悪さなどが引き継がれていった点も見逃してはならないであろう。【佐口 和郎】。…
…ことに労働供給源から遠い作業場等では,かさんだ募集費を取り戻すために1人当りの作業量が自然過大となりがちで,反抗や逃亡に対して暴力ざたが発生することも少なくなかった。飯場に監獄部屋とかたこ部屋等の名称が発生したのはそのためである。ただし,第2次大戦後は労働基準法の施行等もあって,たこ部屋的側面は漸次解消され,また,技術革新のなかで作業監督機能もなくなるなど,飯場制度は現在では大きく変質している。…
※「監獄部屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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