家庭医学館 「子どもの急性中耳炎」の解説
こどものきゅうせいちゅうじえん【子どもの急性中耳炎 Acute Otitis Media】
急性中耳炎は子どもに多い病気で、かぜなどの急性上気道炎(きゅうせいじょうきどうえん)に続いておこります。激しい耳の痛みとともに、全身倦怠感(けんたいかん)(だるさ)、食欲低下、発熱などの全身症状をともないます。
乳幼児の場合は、原因不明の熱が続き、耳だれが出て初めて中耳炎とわかることがあります。
[原因]
鼻の奥にある上咽頭(じょういんとう)と中耳を結ぶ耳管(じかん)が、子どもは成人に比べて短く、太く、水平位であるうえに、免疫力(めんえきりょく)が弱いので、耳管を介して細菌が入り、中耳炎がおこりやすいのです。原因となる菌は、レンサ球菌(きゅうきん)、ブドウ球菌、インフルエンザ菌、肺炎球菌などです。インフルエンザウイルスなどのウイルスの感染が原因のこともあります。
鼓膜(こまく)が破れていないかぎりは、外耳道(がいじどう)に水が入っても、中耳炎はおこりません。
[検査と診断]
診察すると、鼓膜が赤く腫(は)れています。最近は、抗生物質の効きにくい耐性菌(たいせいきん)(メチシリン耐性ブドウ球菌、肺炎球菌)の感染が増えているので、耳だれが続く場合は、どの種類の抗生物質が効くかを調べます(感受性テスト)。
乳様突起炎(にゅうようとっきえん)(「急性乳様突起炎(乳突炎)」)や真珠腫(しんじゅしゅ)(「真珠腫性中耳炎」)が疑われるときは、CT検査が行なわれます。中耳炎をくり返すときは、免疫機能の検査も必要です。
[治療]
熱が出ている間は、安静を守らせることがたいせつです。
最初にペニシリン系、セファロスポリン系の抗生物質を1~2週間内服します。重症では、鼓膜を切開します。
上気道炎からの中耳炎をくり返す場合は、アデノイド切除、扁桃摘出術(へんとうてきしゅつじゅつ)が必要なことがあります。
内耳(ないじ)や脳の合併症をおこさないために、きちんと治療しましょう。
寝かせて乳児にミルクを飲ませると、鼻の奥にある上咽頭から耳管を通ってミルクが中耳に入り、急性中耳炎をおこすことがありますので注意します。