宇宙エレベーター(読み)ウチュウエレベーター(英語表記)space elevator

デジタル大辞泉 「宇宙エレベーター」の意味・読み・例文・類語

うちゅう‐エレベーター〔ウチウ‐〕【宇宙エレベーター】

軌道エレベーター

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宇宙エレベーター」の意味・わかりやすい解説

宇宙エレベーター
うちゅうえれべーたー
space elevator

宇宙と地上を結ぶ輸送機関として構想されているエレベーター状の宇宙往還システム。軌道エレベーターともよぶ。現在、地上と宇宙を往復する手段は、化学ロケットに頼っている。たとえば、国際宇宙ステーションISS)への物資補給は、日本宇宙ステーション補給機「こうのとり」(2020年運用終了。現在、新たな補給機を開発中)などが担っている。しかし、化学ロケットは推進剤に有害物質を使い、環境汚染を招くだけでなく、ロケットの質量のほとんど(約90%)を燃料が占め、打上げコストが非常に高い。そのために、より低コストで環境にもよい宇宙往還システムが研究されているが、宇宙エレベーターはその一つである。

 宇宙エレベーターの具体的な構築方法は、地球の自転と同期する静止軌道上(地表より3万6000キロメートル上空)から、地上方向および宇宙方向へ同時にケーブルを展開する。そして、地表に届いたケーブルを固定し、そのケーブルに沿い、クライマーとよぶ運搬機で宇宙と往復する。最大の課題は、3万6000キロメートルもの長さでの使用に耐え得るケーブルの素材の確保であった。しかし、カーボンナノチューブなどの新素材が開発されたことにより課題解決に向けて大きく前進した。現在、アメリカや日本で具体的な検討が始められており、宇宙エレベーターは空想から実現可能な段階に到達しつつある。

[山本将史 2021年7月16日]

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知恵蔵mini 「宇宙エレベーター」の解説

宇宙エレベーター

地上と宇宙をエレベーターでつなぐ輸送機関のこと。軌道エレベーターともいう。周期が地球の自転と同じになる高度約3万6000キロメートル(静止軌道)にベース・ステーションを設置し、地球の重力に対するため宇宙側にケーブルでつないだカウンター物質(おもり)を設ける。ステーションと地上(海上)との間はケーブルでつなぎ、探査機や有人宇宙船などの物資・人を輸送する。1991年に、この構想を実現するために必要な強度を持つ素材「カーボンナノチューブ」が日本で発見されて以降、科学的な議論が盛んとなり、実現するために解決不能な技術的課題はないとされている。日本では、2008年に宇宙エレベーター協会(09年に一般社団法人化)が設立され、毎年1回「宇宙エレベーター学会」を開催している。株式会社大林組の試算では、建設に約10兆円、約20年かかるとしている。

(2016-10-27)

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