安位(読み)アンイ

デジタル大辞泉 「安位」の意味・読み・例文・類語

あん‐い〔‐ヰ〕【安位】

世阿弥能楽論で、何事余力を残して安らかに演じられる芸の境地。最高とする芸の位。やすくらい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「安位」の意味・読み・例文・類語

あん‐い‥ヰ【安位】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 執着固定観念などを離れた無心自由な境地。また、その境地に達すること。
  3. あんざ(安座)
    1. [初出の実例]「修行堅住の為に盤石の上に安位す。是則ち形相也」(出典:私聚百因縁集(1257)四)
  4. 世阿彌の能楽論で最高の芸境。やすきくらい。
    1. [初出の実例]「心根とは以前申つる、出息入息を地体として、声をたすけ、曲を色とりて、不増不減の曲道息地に安位する所なるべし」(出典:風曲集(1423頃))
    2. 「此位の達人をこそ、真実の、安位(アンイ)とも云べけれ」(出典:拾玉得花(1428))

やすき【安】 位(くらい)

  1. 世阿彌の能楽論で最高の芸境安位(あんい)
    1. [初出の実例]「師によく似せ習ひ、〈略〉身心に覚え入りて、やすきくらゐの達人に至るは、是主なり」(出典:至花道(1420))

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