実証哲学(読み)じっしょうてつがく

精選版 日本国語大辞典 「実証哲学」の意味・読み・例文・類語

じっしょう‐てつがく【実証哲学】

  1. 〘 名詞 〙 狭義には、オーギュスト=コント実証主義哲学をさす。知識の三段階説に基づき、現象を超自然的な、神学的説明や形而上学的説明を排して、経験的事実だけによる説明を唱道した。広義には実証主義に同じ。
    1. [初出の実例]「さりとて吾人はまた英仏に起った実証哲学を以て現代精神を代表するものとはしない」(出典:思想問題(1913)〈上田敏〉学問と流行)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の実証哲学の言及

【実証主義】より

…そして,この見地から,天文学,物理学,化学,生理学という順序で実証的になってきた科学的方法を用いて社会現象を研究し,政治,経済,道徳,宗教などを含むいっさいの人間的・文化的・社会的事象の相互関連性を総合的・統一的に説明すべきであると主張し,それを〈社会生理学〉と命名した。コントはサン・シモンの基本構想を引き継ぎ,さらにいっそう体系化し,《実証哲学講義》全6巻(1830‐42)において〈実証的〉という語を定義し,〈架空〉に対する〈現実〉,〈無用〉に対する〈有用〉,〈不確定〉に対する〈確定〉,〈あいまい〉に対する〈正確〉,〈消極的,否定的〉に対する〈積極的,建設的〉などの特徴をあげた。そして実証的とは〈破壊する〉ことでなくて〈組織する〉ことであると説き,人間の知識と行動は〈神学的〉―〈形而上学〉―〈実証的〉になるという〈3段階の法則〉を提示し,社会現象についての実証的理論を〈社会学sociologie〉,実証的知識に基づいて自然界,精神界,社会界を全体的に一貫して説明する理論を〈実証哲学philosophie positive〉と呼んだ。…

※「実証哲学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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