改訂新版 世界大百科事典 「室生山」の意味・わかりやすい解説
室生山 (むろうさん)
奈良県宇陀郡から三重県名張市,津市,松阪市にまたがる室生(大洞(おおぼら))火山群の総称。東西25km,南北15kmの地域に,花コウ片麻岩の基盤に堆積した第三紀層を貫いて流紋岩質の溶結凝灰岩が分布する。額井(ぬかい)岳(812m),最高峰の俱留尊(くろそ)山(1037m),大洞山(985m),尼ヶ岳(957m)など標高1000m内外の峰々があり,浸食を受けた雄大な絶壁や奇峰が多く,柱状節理も発達している。東部には赤目四十八滝や香落渓(こおちだに),奥香落渓などの名所があり,室生赤目青山国定公園に属する。奥香落渓の屛風岩,兜岩および鎧岩の柱状節理は国の天然記念物。また西部には,女人高野と称された室生寺や大野寺磨崖仏があり,春や秋には訪れる行楽客が多い。
執筆者:水山 高幸+清水 弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報