宮野庄(読み)みやののしよう

日本歴史地名大系 「宮野庄」の解説

宮野庄
みやののしよう

現山口市街の北方、大字宮野上みやのかみ・宮野下一帯の地。荘名は「文徳実録」にその名がみえる古社仁壁にかべ神社が荘内に鎮座することに関係があると思われる。

宮野は「和名抄」に記される古代の神前かんざき郷で、仁壁神社神前に開けた地という説もある。文治二年(一一八六)周防国が東大寺造営料国に定められた時に、この地もその一部とされた。東大寺大勧進俊乗房重源は周防において大仏殿建立の材木の調達にあたったが、その折同行した宋人の工匠陳和卿に給領地として宮野を与えた。建久六年(一一九五)九月の周防宮野荘立券文(上司家文書)に「依大仏殿造営之賞、任申請、堺四至打示、宛衣粮之二事、所給預也」とある。和卿は東大寺大仏殿の竣工に伴い、宮野庄を東大寺に寄進。重源は東大寺領の宣旨を受け、同年九月に立券使を派遣して宮野庄の境界を定め、目録を作成。ここに東大寺領宮野庄が成立した。

周防宮野荘立券文によると、宮野庄の四至は「限東仁保庄中山、限南木津宮前、限西長門国堺山、限北同堺檜山」とあり、田畠が一一八町五反、無主の荒野が五三町五反、合わせて一七二町、在家三一宇であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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