寺百姓村(読み)てらひゃくしょうむら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「寺百姓村」の意味・わかりやすい解説

寺百姓村
てらひゃくしょうむら

中世に成立起源をもつ村落の一類型で、寺院領としての寄進地や寺院が開墾主となった田地を耕作する農民が、寺院を中心に集居して形成された荘園(しょうえん)制村落をいう。そして寺院は、宗教的にはもとより、社会的にも村民生活の中核をなし、寺院と農民は封建的主従関係で結ばれていた。こうした荘園制村落のうち、太閤(たいこう)検地によって荘園制が解体させられたのち、近世大名が朱印その他によって寺領と認定した地内にあった村を、厳密な意味での寺百姓村といい、法制的には1871年(明治4)の廃藩置県まで存続した。寺百姓村には行政村全体にわたるものと、寺院に対して分給された集落限りのものとがあり、大寺院の塔頭(たっちゅう)の場合は後者であった。寺百姓村は生業上は百姓村(農村―寺の小作農)であるものと、商業者(茶店・旅籠(はたご)、仏法具店)の混じる門前町とに分けられる。

[浅香幸雄]

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