日本大百科全書(ニッポニカ) 「対称行列」の意味・わかりやすい解説
対称行列
たいしょうぎょうれつ
n次正方行列A=(aij)が
(1)aij=aji
(i,j=1,……,n)
を満たすとき、Aをn次対称行列という。(1)はAの主対角線に関して対称の位置にある行列成分が等しいことを意味するので、この名がつけられた。
条件(1)に対し、Aが
(2)aij=-aji
(i,j=1,……,n)
を満たすとき、Aをn次交代行列という。このとき、主対角線上の成分aiiは0になる。任意の正方行列Bに対し、tBをBの転置行列とすると、(B+tB)/2は対称行列、(B-tB)/2は交代行列で、
となる。実対称行列Aは適当に直交行列Pをとると、P-1APを対角行列にできる。この性質は二次形式に応用される。
[菅野恒雄]