改訂新版 世界大百科事典 「二次形式」の意味・わかりやすい解説
二次形式 (にじけいしき)
quadratic form
x12+4x1x2+x22=x12+2x1x2+2x2x1+x22のように,いくつかの変数x1,x2,……,xnの多項式で,すべての項が二次の項だけからなるものをx1,x2,……,xnについての二次形式という。二次形式は対称行列(S=tSを満たす行列。ここでtSはSの転置行列)を用いて,
と表される。上の例では,
である。QのことをSで決まる二次形式という。以下,(x1,……,xn)=xと略記することにする。二次形式Qに対し,をQの極形式という。Qは,Bを用いてQ(x)=B(x,x)と表される。Sの行列としての階数rをQの階数といい,Sが正則のときQは非退化であるという。これは,すべてのyに対してB(x,y)=0となるxは0に限るということもできる。
二次形式に適当な直交変換を行うことにより,
α1x1′2+……+αpxp′2-αp+1xp+1′2-
……-αp+qxp+q′2 (α1>0)
という形にできる。このときp+q=r(rは階数)で,この(p,q)を二次形式の符号数といい,この形に変換することをQを主軸変換するという。
二次形式において,すべてのxに対してQ(x)≧0で,Q(x)=0となるのはx=0に限るとき正値形式といい,Q(x)≦0でQ(x)=0ならば,x=0であるとき負値形式であるという。これ以外のときは不定値形式であるという。この三つの場合は,符号数を用いて(p,q)=(n,0),(0,n),それ以外と区別できる。
執筆者:斎藤 裕
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報