専科大学(読み)せんかだいがく

大学事典 「専科大学」の解説

専科大学
せんかだいがく

1950年代末に政府発足をめざした高等教育機関類型の一つ。4年制大学とは別個の機関類型として「深く専門の学芸教授研究し,必要があるときはあわせて高等学校に準ずる教育を施し職業又は実際生活に必要な能力を育成することを目的」とし,修業年限は2~3年,高等学校に準ずる教育を施す場合は5~6年とされた。そもそもこの制度が発想された背景には,各種の旧制高等教育機関を大学に一本化した戦後改革への不満,とりわけ旧制工業専門学校が果たした「中級技術者」養成機能喪失への不満が産業界を中心にもたれていたことがある。さらに暫定的な位置づけであった短期大学の処理問題も加わり,短期大学を吸収するものとして専科大学構想が形成されていった。しかし,4年制大学と別類型とされたこと,また技術者教育が重視されていたことなどに,短期大学とりわけ私立短期大学関係者が強く反発し,3度にわたって国会に提出された専科大学法案は成立することなく終わった。そして短期大学に関わる部分を分離した高等専門学校制度が1961年(昭和36)に発足した。
著者: 伊藤彰浩

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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