専門看護師(読み)せんもんかんごし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「専門看護師」の意味・わかりやすい解説

専門看護師
せんもんかんごし

ある特定の専門看護分野において、卓越した看護実践能力を有することを日本看護協会が認定した看護師CNS(certified nurse specialist)と略称される。

 専門看護師の資格は、日本国の看護師免許を有し、看護系大学院修士課程を修了した者で、日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定単位を取得し、実務経験が5年以上(専門看護分野で3年以上、かつ特定分野の経験のうち6か月以上は修士課程修了後の経験)あること等の条件を満たし、日本看護協会専門看護師認定審査に合格した場合に与えられる。認定証の有効期限は5年であり、資格更新には更新審査を受ける必要がある。

 1987年(昭和62)4月、厚生省(現、厚生労働省)の「看護制度検討会報告書(21世紀へむけての看護制度のあり方)」において、「専門看護婦」(当時の名称)、「看護管理者」の育成が提言されたことを契機として、日本看護協会において資格認定制度の創設について検討が開始され、一本化した制度として1994年(平成6)に専門看護師制度が発足した。なお「専門看護師」の名称は、日本看護協会の登録商標である。

 専門看護師は、以下の役割を果たすことが期待されている。

(1)実践 専門看護分野において、個人、家族および集団に対して卓越した看護を実践する。

(2)相談 専門看護分野において、看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。

(3)調整 専門看護分野において、必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。

(4)倫理調整 専門看護分野において、個人、家族および集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決を図る。

(5)教育 専門看護分野において、看護者に対しケアを向上させるため教育的機能を果たす。

(6)研究 専門看護分野において、専門知識および技術の向上、並びに開発を図るために実践の場における研究活動を行う。

 2021年(令和3)6月時点において、「専門看護分野」として特定されている分野は、がん看護、精神看護、地域看護、老人看護、小児看護、母性看護、慢性疾患看護、急性・重症患者看護、感染症看護、家族支援、在宅看護、遺伝看護、災害看護の13分野で、計2714人が専門看護師として登録されている。

[横山美樹 2021年6月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android