射返す(読み)イカエス

デジタル大辞泉 「射返す」の意味・読み・例文・類語

い‐かえ・す〔‐かへす〕【射返す】

[動サ五(四)]
敵が射かけてきたのに応じて、こちらからも射る。応射する。「敵陣に向かって―・す」
光を照り返す。反射する。
二つかぶとが、月下に躍る細鱗の如く秋の日を―・す」〈漱石幻影の盾〉
矢を射て敵を追い返す。
天つ神御子の使ひを―・し、待ち攻めむとして」〈・中〉
敵の射た矢を用いて敵を射る。
おきよりこの矢を射て候が、―・せとまねき候」〈平家一一

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精選版 日本国語大辞典 「射返す」の意味・読み・例文・類語

い‐かえ・す‥かへす【射返】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. 矢を射かけて敵を追い返す。
    1. [初出の実例]「鳴鏑を以ちて其の使を待ち射返(いかへし)き」(出典古事記(712)中)
  3. 敵が射て来た矢を取って逆に敵を射る。
    1. [初出の実例]「奥よりこの矢を射て候ふが、ゐかへせとまねき候」(出典:平家物語(13C前)一一)
  4. 敵が矢を射かけてきたのに対してこちらからも射る。応射する。
    1. [初出の実例]「むねと射かへしたる者ども」(出典:大鏡(12C前)四)
  5. 光を照り返す。反射する。
    1. [初出の実例]「二つの甲(かぶと)が、月下に躍る細鱗の如く秋の日を射返す」(出典:幻影の盾(1905)〈夏目漱石〉)

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