朝日日本歴史人物事典 「尊子内親王」の解説
尊子内親王
生年:康保3(966)
平安中期の皇女。賀茂斎院,円融天皇女御(妃)。二品。冷泉天皇と藤原懐子の娘。花山天皇の同母妹。承香殿女御とも。康保4(967)年に2歳で内親王となり,翌年賀茂斎院に卜定。『栄花物語』によると「たいそうかわいらしく光るよう」な少女だった。天延3(975)年母の死により斎院を退下,天元3(980)年円融天皇のもとに入内。1カ月後に内裏が火災になり「火の宮」とあだ名される。同5年にはだれにも知らせずに落飾しようと試み,人々を驚かせた。『源氏物語』の「かがやくひの宮(藤壺)」のモデルという説もある。源為憲が,内親王のために『三宝絵詞』を贈ったことは有名。<参考文献>安西迪夫「歴史物語と尊子内親王」(鈴木一雄編『平安時代の和歌と物語』),今西祐一郎「『火の宮』尊子内親王」(『国語国文』51巻8号)
(楢原潤子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報