小引浦(読み)こびきうら

日本歴史地名大系 「小引浦」の解説

小引浦
こびきうら

[現在地名]由良町小引

くろ(二四二メートル)北西に位置する漁村北東衣奈えな浦に接し、南西大引おおびき浦、北西は海で、干潮時には陸続きになる十九つる島に面する。集落は二つに分れ、北に戸津井とつい、南に小引があった。慶長検地高目録では大引浦に含まれていた。

延宝六年(一六七八)の「日高鑑」に小引浦とみえ、田畑五町五反余、高六四石余、家数六三、人数二五九、牛六。家数の内訳は本役三六・半役一〇・無役五・舟方七・庄屋二・年寄一・ありき二。漁舟は二枚帆ないし三枚帆が一九艘あり、網は一五帖あった。網の内訳はいわし網三帖・ぼら網一帖・四艘張一帖・地引網四帖・はまち網四帖・えび網二帖。志賀組に属した。江戸時代には当地の者が鰯漁夫(網子)として盛んに関東房総地方に雇われたらしく、衣奈浦とともに近世初期から網漁業を中心にした先進的な漁村であったようだ。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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