屠所の羊(読み)トショノヒツジ

デジタル大辞泉 「屠所の羊」の意味・読み・例文・類語

屠所としょひつじ

《「北本涅槃経」から》屠所に引かれて行く羊。刻々と死に近づいているたとえ。また、不幸にあって気力をなくしていることのたとえ。

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精選版 日本国語大辞典 「屠所の羊」の意味・読み・例文・類語

としょ【屠所】 の 羊(ひつじ)

  1. ( 「北本涅槃経‐三八」の「如囚趣市歩歩近一レ死。如牛羊於屠所」から ) 屠所にひかれてゆく羊。刻々に死期の迫ることのたとえ。また、不幸に直面して気力を失い、悲しみに打ちひしがれたものにもいう。贄(にえ)に赴(おもむ)く羊。
    1. [初出の実例]「屠所の羊今幾程か無常の道を歩み、閻魔の使何の時か朽宅の窓に臨ん」(出典:愚迷発心集(1213頃))

屠所の羊の補助注記

現在では、比喩として用いることは差別的表現となる。

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故事成語を知る辞典 「屠所の羊」の解説

屠所の羊

刻々と死期が迫ることのたとえ。転じて、不幸に直面して気力がなくなった者のたとえ。

[使用例] 彼は屠所の羊のように、泣き出しそうなこわばった微笑を、いて作りながら、美奈子達の後から乗った[菊池寛真珠夫人|1920]

[由来] 仏教書物でよく使われるたとえから。たとえば、「しんかんぎょう―四」には、人の命のはかなさを、「けんようの屠所にいたり、漸々ぜんぜんとして死に近づき逃避する所無きがごとし(ちょうど、羊があの食肉加工場に引っ張られていって、だんだん死が近づいてきても逃げられないようなものだ)」とたとえています。

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デジタル大辞泉プラス 「屠所の羊」の解説

屠所の羊

米国の作家A・A・フェア(E・S・ガードナーの筆名)のハードボイルド小説(1939)。原題《The Bigger They Come》。「クール&ラム」シリーズ。『ボスを倒せ』の邦題もある。

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