山口保(読み)やまぐちほ

日本歴史地名大系 「山口保」の解説

山口保
やまぐちほ

旧中島郡内の国衙領保内地名青木あおき(現稲島町)西迫にしはざま八瀬やばせ(現矢合町)、平野(現平野町)細工所さいくぞ(現平細工蔵町)下切しもぎり(現西島町)宿塚しくづか(現井堀宿塚町)真野副まのぞえ(現天池町真奈添か)などの分布より推して、現山口町を中心にした市域北西部、ほぼ三宅みやけ川の北岸一帯に比定できる。嘉暦四年(一三二九)の荒尾宗顕寄進状(妙興寺文書)にみえる「須賀垂」を(現中島郡平和町)とすれば、平和へいわ町北部まで含まれていたことになろう。

嘉暦二年二月付の帰覚譲状(妙興寺文書)にみえる「一所壱町 山口保内堤上田故新殿跡」を保名の初見とする。文和二年(一三五三)七月付の尾張国郷保地頭正税弁済所々注進状案(醍醐寺文書)等によれば、当保は尾張国衙領のうち「一円地」に対して「正税地」と称せられる所領の一つで、地頭荒尾氏が国衙領主に対し一二〇貫文の正税を弁済する請所を成立させていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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