岡本良雄(読み)おかもとよしお

日本大百科全書(ニッポニカ) 「岡本良雄」の意味・わかりやすい解説

岡本良雄
おかもとよしお
(1913―1963)

児童文学作家。大阪に生まれる。早稲田(わせだ)大学卒業。関西同人誌『新児童文学』に『安治川(あじがわ)っ子』(1939.10)などの社会批判を込めた作品を発表し、集団主義童話の担い手として注目される。1939年(昭和14)発表の『八号館』で大阪童話研究会の第1回新人賞を受賞。それを機に上京して、42年『朝顔作りの英作』を出版。第二次世界大戦後は『ラクダイ横丁』(1948.2『銀河』)などの才気あふれた問題作を多く発表した。

[向川幹雄]

『『岡本良雄童話文学全集』全三巻(1964・講談社)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「岡本良雄」の解説

岡本良雄 おかもと-よしお

1913-1963 昭和時代の児童文学者。
大正2年6月10日生まれ。早大童話会に所属して,「童苑(どうえん)」を創刊。昭和17年童話集「朝顔作りの英作」を刊行。戦後,児童文学者協会創立に参加。26年「ラクダイ横丁」などの作品で児童文学者協会第1回児童文学賞を受賞。昭和38年2月6日死去。49歳。大阪出身。早大卒。作品はほかに「八号館」。

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世界大百科事典(旧版)内の岡本良雄の言及

【児童文学】より

…しかし,理論をうらづけるだけの実作をともなわないままに解放運動は中絶し,転向と抵抗との複雑なからみあいのなかで,社会主義リアリズムの一側面を生活主義童話の提唱としておし出した。槙本,川崎や塚原健二郎,岡本良雄らの作品で,児童の自主性と社会性が児童文学のおもな題材となる道はひらけたが,戦争の重圧のなかで平板な生活童話に変質し,スケッチ的・風俗小説的作風は現代の児童文学になお色こくみられる弱点となっている。これは,回想的・私小説的方法とともに,児童文学から物語性に富んだおもしろさをうばいとり,子どもを通俗文学のとりことして放置する結果を生んだ。…

※「岡本良雄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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