岩糸村(読み)いわいとむら

日本歴史地名大系 「岩糸村」の解説

岩糸村
いわいとむら

[現在地名]丸山町岩糸

西原にしばら村の東、丸山川左岸、温石おんじやく川右岸の沖積地に立地し、南部を伊南房州通いなんぼうしゆうどおり往還が通る。鎌倉時代、一帯に岩糸保が成立しており、弘安元年(一二七八)閏一〇月二六日の北条時宗下知状(弘文荘善本目録)に「安房国岩(糸)保」とみえ、同保などの地頭職は同年五月、新田重俊より子息平常盛に譲与され、この日幕府より安堵された。室町―戦国期には、当地を名字の地とする丸氏一族の岩糸(岩井戸)氏がいた。石堂いしどう寺蔵の天文一四年(一五四五)一一月二八日付多宝塔露盤銘に「丸岩糸殿平朝臣豊常、其子時綱」がみえる。同寺蔵の同一六年九月日付の金剛盤銘によれば、これは「旦那丸但馬守時綱妻女」が寄進したものである。天正一五年(一五八七)一月から五月にかけて、里見義康は上総国周東郡秋元あきもと中嶋なかじま(現君津市)神野じんや寺鹿野山修善院を造営したが、その「天正十五年自正月九日五月三日出仏」と記された棟札銘(神野寺文書)には里見氏家臣団の名が列記されており、そのなかに「岩井戸殿」がみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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