鎌倉前期の武将。三浦義明の嫡男で若死した義宗の長男。母は遊女玉。通称小太郎。相模国三浦郡和田(現,神奈川県三浦市)を本居とする。1180年(治承4)三浦一族とともに源頼朝の挙兵に参加,勲功著しいものがあった。同年末の侍所(さむらいどころ)設置にさいし,かねての所望に従って別当に任じられた。その後,西国・奥州遠征にもつねに戦功を立て,90年(建久1)頼朝の上洛に随行,左衛門少尉に任官した。頼朝の信任厚かったが,直情径行で,一時侍所別当の職は能吏梶原景時に奪われた。頼朝没後も重臣らの合議機関に席を占め(十三人合議制),また景時追放事件の中心人物となった。1203年(建仁3)比企の乱では北条氏にくみし,09年(承元3)には上総国司就任を強く望んだが,政子の反対により実現しなかった。この間しだいに北条氏との対立が激化,ついに13年5月挙兵するに至ったが,三浦氏の裏切りにあい敗北,一族もろとも滅亡した(和田合戦)。
執筆者:杉橋 隆夫
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鎌倉初期の武将。鎌倉幕府初代の侍所別当(さむらいどころべっとう)。義宗(よしむね)の長子で三浦大介義明(みうらおおすけよしあき)の孫。根拠地は相模(さがみ)(神奈川県三浦市)和田。1180年(治承4)頼朝(よりとも)挙兵に際し、叔父の三浦義澄(よしずみ)らとともに大いにこれを助け、同年侍所創設と同時に別当(長官)に任じた。のち平家追討や89年(文治5)の奥州藤原氏征討などにも活躍。訴訟の裁決が重臣13名による合議制となった頼家(よりいえ)の代には、元老の1人として参加した。1203年(建仁3)比企(ひき)氏の乱では北条時政(ときまさ)に加担してこれを討ち、同じく将軍頼家から時政の追討を命じられたとき、北条氏に通じて頼家を退け、実朝(さねとも)を3代将軍に擁立した。しかし13年(建保1)北条氏排斥事件に加わった息子と甥(おい)に対する北条義時の処罰の仕方を憤って挙兵したが利なく、5月3日和田氏は滅亡した。
[三浦勝男]
『高橋恭一著『三浦党と鎌倉武士道』(1942・長谷川書房)』▽『安田元久著『鎌倉幕府 その実力者たち』(1965・人物往来社)』▽『若命又男著『和田義盛』(1977・横須賀書籍出版)』
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(三田武繁)
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1147~1213.5.3
鎌倉前期の武将。幕府の初代侍所別当。父は三浦義明の子義宗。通称小太郎。本領は相模国三浦郡和田郷。1180年(治承4)源頼朝挙兵時には,三浦義澄とともに頼朝軍に加わった。同年11月,侍所が設置されると初代別当となって軍政を担当。95年(建久6)頼朝上洛に際し洛中警固の奉行を勤め,頼朝の推挙で左衛門尉に任官。99年(正治元)源頼家の親裁を停止する十三宿老(しゅくろう)合議制がしかれるとその一員となった。梶原氏追討や比企(ひき)氏討滅に北条氏と同一歩調をとったが,1213年(建保元)泉親衡(いずみちかひら)の乱に一族が加わり北条義時と対立,和田合戦をおこして敗死。
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…当国守護は鎌倉時代初期に平広常,後期に足利氏,南北朝時代に佐々木,千葉,新田,上杉の諸氏,室町時代に上杉氏がなった。1213年(建保1)伊北荘を根拠とする和田義盛が挙兵して北条義時に滅ぼされる事件が起きた。この和田合戦の恩賞として北条時房が飯富荘を領し,三浦胤義が伊北郡を領した。…
…武勇をもって知られ,義仲に従って合戦に参加したが,1184年(元暦1)正月,義仲が敗死すると信濃に帰った。《源平盛衰記》によれば,源頼朝に召喚されて鎌倉に参上し,斬首されるところを和田義盛の請により免れ,その妻となり,朝比奈三郎義秀を生んだ。和田合戦で義盛・義秀が討たれると,越中国石黒に行き,出家して91歳まで生きたという。…
…1213年(建保1)5月2,3両日,鎌倉を舞台に和田義盛と北条義時によって行われた合戦。この年2月,源頼家の遺児千寿を擁して大将軍となし,義時を除こうとする泉親衡(いずみちかひら)の謀叛が露見した。…
…上演記録の初見は《言継卿記》天文15年(1546)の条。和田義盛は,相模国山下宿河原(現,神奈川県平塚市山下付近)の長者のもとで,3昼夜に及ぶ酒宴を張った。曾我十郎祐成を想う遊君虎御前は,義盛の再三の招きにも応じない。…
※「和田義盛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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