島郡(読み)こしきじまぐん

日本歴史地名大系 「島郡」の解説

島郡
こしきじまぐん

薩摩国の郡名で、薩摩半島西方の東シナ海上に浮ぶ甑島列島にあたる。上甑島・中甑島・下甑島などからなり、現在のさと村・上甑村・鹿島村・下甑村に相当する。郡名は上甑村の甑島神社の神体とされた字黒岩くろいわの甑形の巨岩に由来すると伝え(三国名勝図会)、「続日本紀」宝亀九年(七七八)一一月一〇日条にみえるのが早い。

〔古代〕

和名抄」名博本はコシキシマと読む。天平八年(七三六)の薩摩国正税帳(正倉院文書)にみえる隼人十一郡の一つ。神護景雲三年(七六九)に正六位上から外従五位下に昇叙された隼人司の官人であったと思われる甑隼人麻比古は、当郡由緒の者とされる(「続日本紀」同年一一月二六日条)。宝亀九年(七七八)遣唐使船が耽羅たんら(済州島)漂着、判官海上三狩以下が抑留されたが、録事韓国源らは脱出し当郡に来着した(同書同年一一月一〇日条)。遣唐使第一船は船体が折れ、副使小野石根ら三八人と唐の押送使趙宝英ら二五人が水没し、その後主神津守国麻呂や唐の判官ら五六人の乗った艫のほうが甑島郡に、判官大伴継人や前入唐大使藤原河清の娘の喜娘の乗った舳のほうは肥後国天草あまくさ西仲にしなか(長島か)に着いた(同書同月一三日条)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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