川喜田二郎(読み)かわきたじろう

百科事典マイペディア 「川喜田二郎」の意味・わかりやすい解説

川喜田二郎【かわきたじろう】

文化人類学者,地理学者。京都帝国大学文学部地理学科卒業。大阪市立大学助教授を経て,東京工業大学教授,筑波大学教授,中部大学教授を歴任。東京工業大学名誉教授。京都帝国大学時代に山岳部に入り,今西錦司梅棹忠夫らと探検隊を組織し,大興安嶺山脈などを調査する。大阪市立大学助教授時代の1953年に京都大学マナスル山登山隊に参加。ネパールチベット山村のフィールド調査を研究課題とした。その経験をもとにKJ法と呼ばれる独自の情報整理法を編みだした。KJ法は科学研究のみならず企業の情報整理にも応用された。ヒマラヤ山村の環境保全と活性化のために設立したNGO〈ヒマラヤ保全協会〉の活動も知られている。マグサイサイ賞(1984年),福岡アジア文化賞(1993年)を受賞。著書に《発想法 創造性開発のために》(1966年,中公新書)などがある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「川喜田二郎」の解説

川喜田二郎 かわきた-じろう

1920-2009 昭和後期-平成時代の文化人類学者。
大正9年5月11日生まれ。今西錦司の影響で山岳・探検活動をおこなう。大阪市立大助教授をへて,昭和37年東京工業大教授。のち筑波大,中部大の教授。大興安嶺,ネパールなどの学術探検に参加。59年ネパール山村への技術協力によりマグサイサイ賞。KJ法を創始した。平成21年7月8日死去。89歳。三重県出身。京都帝大卒。著作に「鳥葬の国」「発想法」「素朴文明」など。

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世界大百科事典(旧版)内の川喜田二郎の言及

【発見法】より

…システム化とは,多くの事実をある観点から一つのシステムとして関係づけて分類し,そこに法則性を見いだすもので,メンデレーエフによる周期律の発見などがその典型である。日本でもこうした発見法がさまざまな創造の技法として開発されているが,そのうち市川亀久弥による〈等価変換法〉は類推を独特な形で発展させたものであり,川喜田二郎の〈KJ法〉はシステム化の独自な技法とみることができる。発見【伊東 俊太郎】。…

※「川喜田二郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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