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鳥に死体を食べさせることによって死体を処理する葬法。ヒマラヤのチベット系住民や、インドのムンバイ(ボンベイ)を中心として住む民族集団パルシーの鳥葬はよく知られている。パルシーは、人が死ぬとその死体を「沈黙の塔」へと運び込む。この塔は天井や屋根がなく、死体が塔内に放置されるやいなやハゲタカが舞い降りてきて、死体の肉を食い尽くしてしまい、残った骨は風雨にさらされて洗われる。チベット人の場合は、死体を山の中腹に運び、僧たちが刀で死体を骨ごと切り刻み、頭は石で砕くなどして鳥が食べやすいようにする。死体の解体作業が終わると、僧たちは死体を残して山を下り、ハゲタカのついばむに任せる。この方法だと、毛髪とか骨のごく一部だけを残して死体のほとんど全部は鳥に食べられてしまう。
このような鳥葬の風習の背景には、死者は鳥に食べられることによって天へ運ばれるのだとする観念がある。また、鳥葬はもともと犬や猛獣などに死体を食べさせて処理する葬法と関連する。これらは草原地帯の遊牧民が、移動の途中死んだ者を草原に放置して鳥や野獣の食べるに任せ、さらに移動を続けていく、という古い葬法から発展してきたものであろうと考えられる。
[清水 純]
死体を野や藪のなかに放置する死体遺棄ないし風葬の場合,結果的に死体が野鳥や野獣によって食われることはあるが,厳密な意味での鳥葬とは,ハゲタカやハゲワシなどの肉食鳥に死体の処理をさせることを意図して死体を特定の場所に置く葬法のことで,チベット人と西インドに住むゾロアスター教徒パールシーのあいだで見られるだけといってよい。チベット人のあいだでも燃料用の木が豊富な地方では火葬が頻繁に見られる。鳥葬をする場合は死体を山上に運んで解体し,鳥が肉部を食いつくしたのち骨を埋葬するのが普通であるが,ときにはさらに骨も砕いて食物と混ぜて鳥に与える。このように死体の全部を鳥に食いつくさせる方法は富裕な階層で行われることが多い。パールシーは墓として築かれた塔の上に裸の死体を横たえ,鳥が食べたあと残った骨は塔上で風化させる。これらの鳥葬は中央アジアの遊牧民における死体遺棄から発達したものと思われる。
執筆者:内堀 基光
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…この6神格は物質世界にそれぞれ,火,水,大地などの特定の庇護物を有している。信徒は特にこの3要素を汚すことを避け,拝火教の通称が示すように独特の祭祀形式や,鳥葬・風葬のためのダフメdakhme(沈黙の塔)を発達させた。ゾロアスターの教説は,当時の多神教をアフラ・マズダを最高神とする倫理的一神教に統合しようとするものであった。…
…他方,一夫多妻の習慣もあり,父の妾を子がめとり,嫂と弟が再婚することも行われたが,父系同族の通婚はない。葬礼は,ダライ・ラマやパンチェン・ラマの場合,ミイラ化してまつられるが,高位の僧は火葬,一般の人々,下位の僧は鳥葬(チャトル)される。水葬は罪人に,土葬は疫病死者に限られた。…
…やがて骨だけになり,それが完全に乾燥すると,中央の井戸状になっている穴に投げこまれる。つまり,彼らの葬法は鳥葬なのである。これは,彼らが,火,土,水を神聖なものとするため,火葬,土葬,水葬によってそれらを死体で汚すことを嫌うことによる。…
※「鳥葬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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