差し向かふ(読み)サシムカウ

デジタル大辞泉 「差し向かふ」の意味・読み・例文・類語

さし‐むか・う〔‐むかふ〕【差し向かふ】

[動ハ四]
向かい合う。向き合う。
牡牛ことひうし三宅の潟に―・ふ鹿島の崎に」〈・一七八〇〉
二人―・ひて泣きけり」〈玉鬘
当面する。現在…である。
「その母君…、―・へる子どもの数多くなりて」〈少女

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精選版 日本国語大辞典 「差し向かふ」の意味・読み・例文・類語

さし‐むか・う‥むかふ【差向】

  1. 〘 自動詞 ワ行五(ハ四) 〙 ( 「さし」は接頭語 )
  2. その方に向かって行く。
  3. 向かい合う。
    1. (イ) 物が向かい合って位置している。その方に向いている。
      1. [初出の実例]「牡牛(ことひうし)の 三宅の潟(かた)に 指向(さしむかふ) 鹿島の崎に さ丹塗の 小船を設(ま)け」(出典万葉集(8C後)九・一七八〇)
    2. (ロ) 特に、人が向かい合う。対座する。
      1. [初出の実例]「よところさしむかひて、ひとにきかせできこしめす」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開中)
      2. 「冬、せばき所にて、火にて物煎(い)りなどして、へだてなきどちさしむかひて、多く飲みたる、いとをかし」(出典:徒然草(1331頃)一七五)
  4. ある事態に、現在直面している。当面する。
    1. [初出の実例]「親王たち、大臣の御腹といへど、猶、さしむかひたる劣りの所には、人も、思ひおとし、おやの御もてなしも、えひとしからぬものなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)薄雲)

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