差付ける(読み)サシツケル

デジタル大辞泉 「差付ける」の意味・読み・例文・類語

さし‐つ・ける【差(し)付ける】

[動カ下一][文]さしつ・く[カ下二]
ものに押し当てる。押しつける。
甲鉄艦船舷ふなべりへ我が船舷を―・けて」〈染崎延房・近世紀聞〉
目の前に突き出す。突きつけるように差し出す。
「場合によっては銃剣を―・けてもかまわん」〈黒島渦巻ける烏の群
あてつける。ことさらにする。
殿様和漢に秀でさせ給ふと申す物でござりますと、―・けたる追従に」〈浮・妾気質〉
さおを差して舟を着ける。
「人々興じて(相手ノ舟ヲ自分ノ)舟に―・けさせたり」〈更級

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「差付ける」の意味・読み・例文・類語

さし‐つ・ける【差付・指付】

  1. 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]さしつ・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙
  2. 物におし当てる。つくようにする。おしつける。
    1. [初出の実例]「長き松をたかくともして、頸は引き入れていけば、さきはさしつけつばかりなるに」(出典:枕草子(10C終)七七)
    2. 「火箸をあかめて左の脇顔にさしつけけるに」(出典:浮世草子・西鶴諸国はなし(1685)二)
  3. 目の前に差出す。突き出す。突きつける。
    1. [初出の実例]「頸に剣をさしつけて、まっさきにかかれと云へども」(出典:史記抄(1477)一〇)
  4. ことさらにする。また、おしつけがましいことをする。
    1. [初出の実例]「殿様は和漢に秀でさせ給ふと申物でござりますと、さしつけたる追従に」(出典:浮世草子・世間妾形気(1767)一)
  5. 船を岸に着ける。棹(さお)をさして船を着ける。
    1. [初出の実例]「船にてまうでたり。岸にさしつくるほど見れば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)澪標)

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