差違える(読み)サシチガエル

デジタル大辞泉 「差違える」の意味・読み・例文・類語

さし‐ちが・える〔‐ちがへる〕【差(し)違える】

[動ア下一][文]さしちが・ふ[ハ下二]
誤ってほかへ差し入れる。「整理カードを―・える」
相撲で、行司判定を誤って負けた力士軍配をあげる。
互い違いの形にする。
三尺の御几帳一具ひとよろひを―・へて」〈・二七八〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「差違える」の意味・読み・例文・類語

さし‐ちが・える‥ちがへる【差違・刺違】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]さしちが・ふ 〘 自動詞 ハ行下二段活用 〙 ( 室町時代頃からヤ行にも活用した )
    1. ( 刺違 ) 互いに刀で刺し合う。また、そのようにして死ぬ。
      1. [初出の実例]「ここで佐々木にひっくみさしちがへ、よい侍二人死で」(出典:平家物語(13C前)九)
    2. ( 「さし」は接頭語 ) 入れ違う。入れかわる。交差する。
      1. [初出の実例]「逆徒期せざるに洛中に襲来候。加様にて御座候はば、賊徒差違(サシチガヘ)て御所中へも乱入仕候ぬと覚へ候」(出典太平記(14C後)八)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]さしちが・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙
    1. ( 「さし」は接頭語 ) まちがえる。
      1. [初出の実例]「此男は大方推(すい)して、十が九つさしちがへまい」(出典:浮世草子・傾城禁短気(1711)四)
    2. ( 「さし」は接頭語 ) 入れ違いにする。入れ換える。交差させる。
      1. [初出の実例]「三尺の御きちゃう一よろひをさしちがへて、こなたの隔てにはして」(出典:枕草子(10C終)二七八)
      2. 「この車に八人取り乗りて出ぬるに、木戸の口にて三条殿の車参り会ひしかば、鴟尾をさしちがへて、四人づつ乗りぞ分け侍し」(出典:竹むきが記(1349)上)
    3. ものさしなどで、はかりまちがえる。
    4. 相撲で、行司が誤って負けた力士に軍配をあげる。

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