三尺(読み)さんじゃく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

三尺。すなわち鯨尺で3尺 (約 114cm) の長さの並幅の帯。かつては職人などがそのまましごいて一重まわりの帯とし,左右どちらかの脇結びにして用いたが,明治以後はやや長めにして子供帯として使われた。元来,三尺手拭に発するといわれる。他方,三尺はかつて江戸時代初期の三尺振袖をさしたこともあり,三尺の剣 (つる) の略でもある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

三尺帯の略。一重回りの帯で長さが3尺(約91センチメートル)のもの。三尺手拭(てぬぐい)から出た名であるが、6尺の二重回りのものも三尺という。三尺帯、六尺帯は、初め木綿の手綱染めが使われたが、その後、むきみ絞り、柳絞りが用いられ、全幅をしごいて締める。また羅紗(らしゃ)や縮緬(ちりめん)、八反織などの美しいものもあった。江戸時代に三尺や六尺帯を締めるのは工匠、船人、馬子、車力などの職種の人たちであり、江戸では鳶(とび)の人たちがかならずこれを締めた。また江戸では、印半纏(しるしばんてん)を着る者は三尺を用いたが、背で結ばず、前で左か右のいずれかに片寄せて結んだ。なお、男子および子供の兵児帯(へこおび)を三尺ともいうが、本来の名称ではない。

[藤本やす]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 一尺の三倍。約九〇センチメートル。さんせき。→
※源氏(1001‐14頃)紅葉賀「三尺の御厨子一具に、品々しつらひすゑて」 〔周礼‐冬官・車入〕
② (古く中国で、長さ三尺の竹の札に法律を書いたところから) 法律の異称。三尺法。
※本朝文粋(1060頃)九・於左監門宗次将文亭聴講令詩序〈大江以言〉「披三尺而初学。摧一寸而憖記」 〔史記‐酷吏伝・杜周〕
③ 江戸時代の遊女の格の一つ、天神の異称。揚げ代が三〇匁になったところからいう。
※浮世草子・御前義経記(1700)一「天神は太夫より少おとれり。釈名に三尺といふ。和名に梅といふ」
④ 江戸の歌舞伎で、幅が三尺ほどあった看板をいう。
※絵本戯場年中鑑(1803)上「名だいわきの三尺は名だいの画くみにのるべき人のもれてのらざるを壱人この三尺へ出す」
※本朝文粋(1060頃)一二・侍中亜将為撰和歌所別当、御筆宣旨奉行文〈源順〉「雄劔在腰。抜則秋霜三尺。雌黄自口。吟亦寒玉一声」
※人情本・郭の花笠(1836)二「着つけもしねえ縮緬羽二重、俺が身にやァ相応(そぐな)はねえ。矢張大布子(どてら)に三尺(サンジャク)が、ハハハハ極(きま)りだあ」
※雑俳・柳多留‐三八(1807)「三尺は火ぶせ六尺火のまはり」

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世界大百科事典内の三尺の言及

【扱】より

…扱は赤,黄,緑などの綸子(りんず)やちりめんで同色の房飾がついたものをいい,花嫁衣装の振袖の帯や,七歳児の祝着の帯の下側に畳んだ扱を巻いて左後腰で結ぶ。江戸時代,その前身が手拭と思われる三尺帯も,当初しごいて締めるところから扱帯と呼ばれた。長さが一回り3尺で職人などから始まったが,6尺となっても三尺帯と呼び,現在は子ども物の帯として残っている。…

※「三尺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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