市の堀用水(読み)いちのほりようすい

日本歴史地名大系 「市の堀用水」の解説

市の堀用水
いちのほりようすい

鬼怒川左岸台地に南北に開削された農業用水。全長四三キロ。もとは塩谷郡大久保おおくぼ(現塩谷町)の鬼怒川・まつ川に取水口をもったが、現在は塩谷町の佐貫さぬき首工から取水し、風見山田かざみやまだ逆木さかさぎ用水を分岐、氏家押上おしあげ蒲須坂かますさか箱森新田はこのもりしんでん松山新田まつやましんでん松山狭間田はざまだを経て、高根沢たかねざわ伏久ふすく文挟ふばさみ飯室いいむろ上柏崎かみかしわざき桑窪くわくぼに至り、芳賀はが芳賀町の八ッ木やつぎ芳志戸ほうしど祖母井うばがい、同郡市貝いちかい町の赤羽あかばね鴻之宿こうのしゆく真岡もおか市の清水しみず原町新田はらまちしんでんを経て、八条はちじようが最末端となり、芳賀郡二宮にのみや高田たかだ小貝こかい川に流入する。正保三年(一六四六)着工し、明暦二年(一六五六)春に約五里の掘割を完成した(寛延元年「組合離出入訴状」長嶋元重文書など)。用水開削は宇都宮藩の藩政強化のための殖産政策として、井沼いぬま川の水を利用していた桑窪村柏崎村土室つちむろ(現高根沢町)の水不足を解消することを目的とした。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の市の堀用水の言及

【氏家[町]】より

…南西端にある上阿久津は明治期まで鬼怒川舟運の終点として栄えた。宇都宮藩家老山崎半蔵によって1656年(明暦2)鬼怒川から取水する市ノ堀用水が開削されてから水田が開け,現在も総面積に占める耕地の割合が高い。水田単作地帯であったが,近年は野菜や花卉の施設園芸が増えている。…

※「市の堀用水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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