精選版 日本国語大辞典 「布引」の意味・読み・例文・類語
ぬの‐びき【布引】
- 〘 名詞 〙
- ① ( ━する ) 布をさらすために、広げて張ること。
- [初出の実例]「西京なる御達は、綾千疋、縑(かとり)千疋、繰りあげて、居るかと、しのびきするや、ぬのびきするや」(出典:風俗歌拾遺(河海抄所収)(1362頃)雑芸歌)
- ② 平安時代まで、朝廷で臨時の相撲(すまい)の行なわれた後、または相撲の節会(せちえ)の還饗(かえりあるじ)の時などに、余興として左右の力士におのおの布一反を持たせ縄に撚り、双方で引いてその力を競わせたこと。その布は勝者に与えられた。
- [初出の実例]「於二綾綺殿一、相撲五番、布引」(出典:日本紀略‐延喜七年(907)八月九日)
- ③ ( 形動 ) 多くの人が引き続いて絶え間のないこと。また、そのさま。
- [初出の実例]「もちつれたる旅のおもにども道もさりあへずぬのびきにつづきて」(出典:小島のくちずさみ(1353))
- ④ きのこの一種。布を引いたように並んで生ずる。〔多識編(1631)〕