朝日日本歴史人物事典 「延祥」の解説
延祥
生年:神護景雲3(769)
平安前期の法相宗僧。近江国(滋賀県)野洲郡の人。俗姓は槻本氏。幼年で出家し護命に師事。奈良・元興寺に住した。延暦7(788)年に受戒し,春日寺で護命が『涅槃経』を講じるのを聴聞した。その際,七重塔の上に臥して光に照らされた吉夢を護命に語った。天長5(828)年に興福寺維摩会講師,同7年に御斎会講師を勤め,御斎会では諸宗の学僧の論難にも弁舌を滞らせることがなく,聴衆を嘆服させた。承和3(836)年に権律師となり,のちに少僧都,大僧都を経て僧正に昇った。<参考文献>富貴原章信『日本唯識思想史』
(岡野浩二)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報