講師(読み)コウシ

デジタル大辞泉 「講師」の意味・読み・例文・類語

こう‐し〔カウ‐〕【講師】

《古く、寺で説経をする僧をいった「講師こうじ」から出た語》
講演講義をする人。「研修会の講師として招かれる」
大学・高等専門学校で、教授准教授に準じる職務に従事する者。専任常勤の者と、非常勤の者とがある。
小・中・高校で、非常勤で教諭の職務を助ける者。
専門学校・予備校・塾などで、講座を受け持つ人。
[類語]先生師匠指南役師範宗匠師父教師教員教諭教授教官ティーチャープロフェッサーチューターインストラクター尊師恩師旧師先師コーチ名誉教授・客員教授・助教授准教授助教助手

こう‐じ【講師】

(カウ‐) 宮中の歌会、歌合うたあわせ漢詩の会などで、詩歌を詠み上げる役。
(コウ‐)
㋐平安時代、諸国国分寺に置かれた上座の僧官。僧尼をつかさどり、経論を講説した。
維摩会ゆいまえなどの勅会において講経の任に当たる僧。
法会のときなどに、高座に上がって経文を講義する僧。

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精選版 日本国語大辞典 「講師」の意味・読み・例文・類語

こう‐じ【講師】

  1. 〘 名詞 〙
  2. [ 一 ] ( コウ: ) 仏語。
    1. 上代・中古、諸国の国分寺におかれた上座の僧官。古く行なわれた国師を改めたもので、僧尼をつかさどり、また経論を講説した。中央で任命、派遣し、任期は六年。
      1. [初出の実例]「講師僧恵行」(出典:万葉集(8C後)一九・四二〇四・左注)
      2. 「講師むまのはなむけしにいでませり」(出典:土左日記(935頃)承平四年一二月二四日)
    2. 維摩会(ゆいまえ)・最勝会等の法会で、講経の任に当たる高僧。
      1. [初出の実例]「請律師道慈講師。堅蔵為読師」(出典:続日本紀‐天平九年(737)一〇月丙寅)
  3. [ 二 ] ( カウ: ) 漢詩、歌会、歌合せの披講の席で、詩歌を朗詠して披露する人。
    1. [初出の実例]「歌の講師は、女なむつかまつりける」(出典:延喜十三年亭子院歌合(913))

こう‐しカウ‥【講師】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古く、寺で説経をする僧をいった「講師(こうじ)」を転用した語。→こうじ )
  2. 塾や学校などで講義する人。特に、学校などで、嘱託として特定の学科、技術の教授を担当する人。
    1. [初出の実例]「学才上聞に達して、林学校の講師の列にくははりたり」(出典:随筆・胆大小心録(1808)一〇八)
    2. [その他の文献]〔後漢書‐礼儀志〕
  3. 講演会や講習会などで講演する人。
  4. 大学などで教授または助教授に準ずる職務に従事する者。専任で常勤の者と、非常勤の者とがある。または小・中・高等学校で非常勤として教諭の職務を助ける者。
    1. [初出の実例]「其他二三の私立学校の講師をも受合うていたのである」(出典:地獄の花(1902)〈永井荷風〉五)
  5. こうしゃくし(講釈師)」の略。
    1. [初出の実例]「湊のごとく船がつく下手講師」(出典:雑俳・柳多留‐二六(1796))

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改訂新版 世界大百科事典 「講師」の意味・わかりやすい解説

講師 (こうじ)

(1)論義法要や講讃法要などの仏教儀式における僧侶の役名。問者(もんじや)の発した質問に答える形で経典の解釈などを講じる。維摩(ゆいま)会,最勝会などの講師は非常に重視され,その責を果たした僧は公的に認証されて統括・指導職にあたった。なお古代・中世には,国分寺におかれた僧官名を講師または国師と称した。(2)歌披講(うたひこう)(歌会・歌合せ)で詩歌を朗詠し披露する役の人。独特の節まわしで旋律的に朗唱する。
執筆者:

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大学事典 「講師」の解説

講師
こうし

学校教育法92条で規定された大学の教員の職階の一つ。その職務は「教授又は准教授に準ずる職務に従事する」とされているが,実態では常勤の講師は准教授に次ぐ職階と位置付けられている(人事院規則9-8教育職俸給表(一)級別標準職務表で,講師は准教授と助教の間に位置している)。その資格として大学設置基準は教授または准教授と同等の資格を有する者のほか,その他特殊な専攻分野について,大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者と定めている。なお,他の教育職と異なって講師は非常勤の職が想定されており,教授・准教授相当者についても常勤以外の者については非常勤講師として取り扱われるのが通例である。
著者: 大場淳

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普及版 字通 「講師」の読み・字形・画数・意味

【講師】こうし

講ずる人。

字通「講」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の講師の言及

【歌合】より

…また当座歌合,兼日歌合,撰歌合,時代不同歌合,自歌合,擬人歌合など,歌人関与のあり方を規準として区分することもあって,歌合の分類は多岐複雑である。 またその構成は,人的構成にのみ限っていうと,王朝晴儀の典型的な歌合にあっては,方人(かたうど)(左右の競技者),念人(おもいびと)(左右の応援者),方人の頭(とう)(左右の指導者),読師(とくし)(左右に属し,各番の歌を順次講師に渡す者),講師(こうじ)(左右に属し,各番の歌を朗読する者),員刺(かずさし)(左右に属し,勝点を数える少年),歌人(うたよみ)(和歌の作者),判者(はんじや)(左右の歌の優劣を判定する者。当代歌壇の権威者または地位の高い者が任じる)などのほか,主催者や和歌の清書人,歌題の撰者などが含まれる。…

【講讃】より

…これに開経(導入)の無量義経,結経(補足)の観普賢経(かんふげんきよう)を加えて10座とした講讃が〈法華十講〉,法華経28品に開結2経を加えて30日間に講ずる講讃が〈法華三十講〉である。講讃の道場には,正面の左右に一段高い講座が据えられ,向かって左に講師(こうじ),右に読師(どくし)が登る。読師という名は経・論の本文を読み上げる役という意味で,講師につぐ重い役だが,実際には経・論の題名だけを読み上げ,あとは黙読する。…

【国師】より

…中央より派遣されて,国司とともに管内の僧尼・寺院の監督など宗教行政をつかさどった。奈良時代の後半には大国師,少国師に分かれ,員数が漸増したが,795年(延暦14)講師(こうじ)と改称された。(2)国家の師表たる高僧に与えられる称号。…

【僧】より

…それでも僧になれば,食いつなぐことはできた。 僧を布教の面からみると,寺院に開設された講席にのぼり,僧俗を相手に得意とする仏典を講説する学僧は講師,法師といい,布教の中心的な役割を果たした。ほかに,経典の詠唱や梵唄に巧みな経師,唱礼師,作梵法師といわれる僧がいて,講席や法会を華やかなものにした。…

※「講師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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