弓ヶ浜絣(読み)ゆみがはまがすり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「弓ヶ浜絣」の意味・わかりやすい解説

弓ヶ浜絣
ゆみがはまがすり

鳥取県米子(よなご)地方で織り出す木綿絵絣弓浜絣(ゆみはまがすり)、または「浜絣」ともよばれ、幕末から明治にかけて全盛期で、生活に密着した絵柄(えがら)模様が絣柄に取り入れられている。同地方は古くから暖かい砂地のためワタ栽培が盛んで、江戸期には「伯州綿」で名をなした。地綿を手引きし地藍(じあい)で絣を染めた。夜具地、座ぶとん地、着尺地などに使用した。現在もわずかに産出するが、多くは機械織りで、染法は化学染め、または正藍(しょうあい)・化学染めの併用である。

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改訂新版 世界大百科事典 「弓ヶ浜絣」の意味・わかりやすい解説

弓ヶ浜絣 (ゆみがはまがすり)

鳥取県米子市付近一帯で織られる綿絣織物。伝統的工芸品指定品で浜絣ともいう。意匠は素朴で山水,花鳥,吉祥柄の絵絣が多い。延宝年間(1673-81)に備中(現在の岡山県倉敷市玉島)から小室新兵衛が綿種を持ち帰り,綿花栽培を始め,宝暦年間(1751-64)に備後から絣技術が導入されて生産が始まった。砂地に適するように改良した伯州綿の手紡ぎ糸を手でくくった絣を藍染にし,高機(たかはた)で織る。風合いが柔らかく夜具地,ざぶとん地,着尺用にする。江戸末期から明治にかけては年間10万反以上の生産があったが,現在はわずかである。
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世界大百科事典(旧版)内の弓ヶ浜絣の言及

【弓ヶ浜】より

…このため弓ヶ浜の農業は飛躍的に発展し,新田集落も形成された。とくに藩政時代はワタづくりが盛んで伯州綿の中心産地であり,弓ヶ浜絣(浜絣)は今も特産品である。その後明治になって洋綿の輸入により衰退し,代わって桑畑が広がった。…

※「弓ヶ浜絣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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