鳥取県西部にある日本最大の砂州。弓浜(きゆうひん)半島,夜見ヶ浜(よみがはま)ともいう。日野川河口から境水道までの長さ16km,淀江から境水道までの全砂州の長さは20kmに達する。幅2~4km,標高5m内外の砂質の低平な土地で,《出雲国風土記》には〈夜見島〉とあり,先史・古代のある時期には島であったと推定されている。日野川の排出する土砂が沿岸流によって運ばれ,粟島などの岩島を核として砂嘴状に堆積し,やがて島根半島に接して中海と美保湾を分離する砂州に成長したもので,縄文時代に中海側の内浜が形成され,以後美保湾側に砂が堆積して砂州の幅を広げた。水の便が悪いため古代・中世には人煙まれな土地であったが,1701年(元禄14)から米村所平らによって日野川の分水灌漑工事がすすめられ,米川(よねがわ)用水として59年(宝暦9)境水道まで通水が完成した。このため弓ヶ浜の農業は飛躍的に発展し,新田集落も形成された。とくに藩政時代はワタづくりが盛んで伯州綿の中心産地であり,弓ヶ浜絣(浜絣)は今も特産品である。その後明治になって洋綿の輸入により衰退し,代わって桑畑が広がった。現在はネギ(伯州一本ネギ),タバコをはじめとする多彩な農業が営まれる。また米川用水の支流の水流によって砂州の砂を中海に流して干拓する〈砂流し新田〉も造成されてきた。1989年境港市の中海干拓弓浜工区の事業は完成した。中海新産業都市指定地区の中核として水産物の食品加工など工業化も進んでいる。
執筆者:豊島 吉則
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鳥取県北西部にある日本最大の湾口砂州で、美保湾と中海(なかうみ)を隔てる。夜見ヶ浜(よみがはま)、弓浜半島(きゅうひんはんとう)ともいい、『出雲国風土記(いずものくにふどき)』の国引(くにびき)神話では「持ち引ける綱は夜見(よみ)の嶋なり」とある。南北18キロメートル、幅3~6.5キロメートル。地形は海抜16メートル以下の内浜(うちはま)砂丘やそれと並列する中浜(なかはま)・外浜砂堆(そとはまさたい)列、北部では十数列の浜堤(ひんてい)と湿地列からなる。根元の目久美(めぐみ)低地遺跡では縄文早期末以後、内浜砂丘の黒砂(くろずな)層では縄文~古墳期、中浜では古墳期~平安時代の遺物が出土する。1759年(宝暦9)砂州を縦断する約20キロメートルの用水路米川(よねがわ)の開削で新田化が進み、綿作とともに、弓ヶ浜絣(がすり)の産地となった。明治中期以降は養蚕と製糸へかわり、第二次世界大戦後は白ネギ・葉タバコ栽培地、空陸自衛隊基地、中海新産業都市計画地区へと変容。境(さかい)港外港の造成、境水道大橋や産業道路の整備など、米子(よなご)・境港両市の連合都市化が進行している。
[岩永 實]
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