並木(読み)なみき

精選版 日本国語大辞典 「並木」の意味・読み・例文・類語

なみき【並木】

姓氏の一つ。

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デジタル大辞泉 「並木」の意味・読み・例文・類語

なみき【並木】[姓氏]

姓氏の一。
[補説]「並木」姓の人物
並木五瓶なみきごへい
並木正三なみきしょうぞう
並木宗輔なみきそうすけ

なみ‐き【並木】

並んで立っている樹木。また、街路の両側などに1列に並べて植えた木。街路樹。「並木道」「桜並木
[類語]街路樹

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改訂新版 世界大百科事典 「並木」の意味・わかりやすい解説

並木 (なみき)

道路の両側に一定の間隔をおいて列状に植えられた樹木。景観の美化,緑陰,防風,防火,防音,防塵などを目的とし,里程標とされることもある。市街地の場合は街路樹と呼ばれる。

奈良時代の759年(天平宝字3)に東大寺の普照の奏状により五畿七道の駅路の両側に果樹を植えさせ,木陰を旅人の休息場とし,木の実を食料とさせる官符が出ているのが街道の並木の始まりとされ,平安時代にも引き続き果樹が植えられている。戦国時代末には織田信長が1575年(天正3)に東海道と東山道に松や柳を植樹させ,上杉謙信,前田利長,加藤清正らも領内の街道に諸木を植えさせて街道の整備を行っている。江戸時代に入って1604年(慶長9)に徳川秀忠が五街道をはじめとする諸街道を整備するために並木を植えることを命じて以降,江戸幕府はその検分や補植,雑木の刈払い,道の両端の歩行の禁止を命じ,木陰になった場所の年貢免除を行うなど保護策をとり,諸大名もそれにならったので全国の街道に並木が見られるようになった。樹種も杉,松,柳など10種以上に及ぶ。日光や箱根の杉並木,御油(ごゆ)の松並木は現存するものとして有名である。

 都市の街路樹の並木としては,古くは平安京の朱雀大路の両脇にしだれ柳が植えられており,その他の大路にも樹木が植えられていたことが《年中行事絵巻》などには描かれている。しかし,中世の都市や近世の城下町などでは,寺院・神社の境内や参道に並木があり,郊外の名所に桜並木などがあるものの,中心部の街路沿いに並木がつくられた例はないようである。1872年(明治5)の東京築地一帯の大火後の銀座煉瓦街建設にともない,銀座大通り両側に松,桜,楓(かえで),柳などが植えられたのが,近代日本の都市景観を整える街路樹としての並木の早い例で,以後,各地の都市の主要街路に並木が見られるようになった。銀座大通りの並木は,その後,明治中ごろに全部柳となり,銀座が繁華街となるにつれ名物となるが,1921年の歩道幅縮小の際に引き抜かれて銀杏(いちよう)並木に変わる。29年の《東京行進曲》で〈昔恋しい銀座の柳〉と歌われたのはこの時期のことで,32年には再び柳並木が復活している。この銀座大通りの柳も72年に取り払われ今はない。
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エジプト新王国時代第18王朝期のハトシェプスト女王葬祭殿(ディール・アルバフリー)の神殿に上るテラスには,緑陰樹を植え込んだ穴が残っており,並木の最古の例の一つとされる。ローマ郊外のアッピア街道カサマツの並木は旅人に緑陰を与え,また里程標となった。中世ヨーロッパでは栽培術が発達し,迷園など樹木を用いた設計法も考案された。ルネサンス期イタリアにおいてビラの建造が都市の内外で流行し,斜面地形を利したテラス状庭園で,噴水,水階段,装飾花壇とともに,樹林園や,並木でとり囲んだ芝生園が姸(けん)を競った。ビラ・デステ(エステ荘。ティボリ)やボボリ庭園フィレンツェ)はその好例である。ベルサイユ宮殿などフランスのバロック式庭園では,園内に直交あるいは放射状に配したビスタvista(見通しの軸線)を強調してみせるため,主軸線の両側に樹木を密植して暗緑色の樹木の壁をつくり,これをボスケbosquetと称した。

 並木や花壇を設けた公園風の都会の大通りはブールバールboulevardと呼ばれるが,もとは都市を囲む城跡を撤去した跡地などに植林し,幅広い並木道としたのが始まりである。ウィーンのリング,パリのシャンゼリゼが著名。バルセロナのサンタ・モニカ通りを起点とする街路は,道路幅員内の両側に車道をおき,中央に歩行者専用路と植樹帯を設けて,木の間越しに町並みをみせるようにした中央部植栽の秀例とされる。20世紀初頭のアメリカでは都市美運動のもとで,ワシントンやシカゴなど各都市の改造案がつくられたが,いずれもブールバールを都市景観改良の主要素として用いたものであった。アメリカのハートフォードのコンスティチューション・プラザは,建物の屋上全面に樹木を並べて並木空間を高層化したもので,並木の多様化を示す最近の例といえよう。
街路樹
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世界大百科事典(旧版)内の並木の言及

【道】より


【幹線網の確立】
 始皇帝は全国を統一して郡県制を施行するとともに,統一政策の一環として車の軌幅を同一にし,馳道と称する官道を建設した。道幅は50歩(約67.5m),地面より高く版築でつき固め,3丈(約6.75m)ごとに青松を植えて並木とするという壮大華麗なものであった。馳道は首都咸陽(かんよう)を中心に,東北は燕,東は斉,南東は呉・楚まで,秦に併合された諸国の主要都市を放射状に結び,従来から各国内にあった道路と併せ,その後の中国北方道路網の基幹となった。…

※「並木」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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