出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…こうして,自由な討論によって適正な結論を見いだし,少数派も,明日には政権交代によって多数となりうるという保障のもとで,多数決の結果に従うという図式はもはや成立しがたくなる。1880年代のイギリスで,合法的な議事妨害としての長時間演説に対抗するために,討論終結制(いわゆるギロチン)が採用されたが,与野党間に一定の同質性があるところでは,果てしなくつづく議論を打ち切って暫定的な結論を出すためという技術的効用を承認されるとしても,共通の基盤が失われたところでは,少数派の発言・批判を封ずる強行採決の手段となる傾向を免れない。こうして,ロシア革命の衝撃下におかれた西ヨーロッパ世界では,〈左〉からするコミュニズムの切迫感と,それに対抗しようとする〈右〉からの独裁を主張する勢力の拮抗のなかで,〈左〉〈右〉両側からの,議会制民主主義への批判・弾劾がつよまった。…
…国会活動ではこれまで,防衛,治安,教育,労働の諸問題を中心に,政府与党と野党は対決してきた。多くは条約を含め立法をめぐる対立で,昭和40年代前半までは,政府与党が議事手続の法的枠組みを越えて強行採決をする例(日韓条約・協定および関連法案,1965年。大学運営臨時措置法案,1969年)もみられ,強行採決のために警察力が導入されたこともあった。…
… 日本では,現在,国会法で,あらかじめ議院の議決があった場合を除き,議長は議員の発言時間を制限することができる(61条)。討論の終結と採決に対し,少数党の側が演壇占拠などの物理的抵抗を含めてあくまで抵抗し,多数党の側が警察力の導入などを含めてそのような抵抗を排除するという状況のもとで採決がおこなわれるとき,いわゆる〈強行採決〉の事態となる。日本で1950年代にしばしばくりかえされた。…
※「強行採決」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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