御く文字(読み)おくもじ

精選版 日本国語大辞典 「御く文字」の意味・読み・例文・類語

お‐くもじ【御く文字】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語。「くもじ」は「く」のつく言葉の後半を略して「文字」を添えたもの ) 女房詞
  2. ( 「く」は「九献」の略 ) 酒、酒盛りのこと。
    1. [初出の実例]「まきにて御くもしあり」(出典:御湯殿上日記‐慶長三年(1598)五月二四日)
  3. ( 「く」は「還御(くゎんぎょ)」の略 ) お帰りになること。
    1. [初出の実例]「御くもしなるとて、いとまこいになる」(出典:御湯殿上日記‐永祿五年(1562)三月二五日)
  4. ( 「く」は「茎」の略 ) 茎漬け。大根かぶなど葉と茎とを一緒に漬けたもの。
    1. [初出の実例]「おくもじとは茎漬の事だと」(出典:滑稽本・四十八癖(1812‐18)三)
  5. ( 「く」は「苦労」の略 ) 相手の苦心や努力をいたわっていう。ご苦労。
    1. [初出の実例]「物に馴たるお千枝が出迎ひ、皆様お供いかいおくもじ」(出典:浄瑠璃・信州姥捨山(1730)三)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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