国指定史跡ガイド 「御厨古墳群」の解説
みくりやこふんぐん【御厨古墳群】
静岡県磐田(いわた)市にある古墳。天竜川東岸の磐田原台地東南部に位置し、有名な松林山(しょうりんざん)古墳(全長107mの前方後円墳)を含む現在の新貝・鎌田地区(旧御厨村)に群在する古墳時代前期の古墳群。前期の稲荷山古墳(全長48mの前方後円墳)、秋葉山(あきはやま)古墳(直径54mの円墳)、高根山古墳(直径52mの円墳)、古墳時代中期~後期の御厨堂山(みくりどうやま)古墳(全長50mの前方後円墳)の4基を合わせた5基である。松林山古墳は、1931年(昭和6)の発掘調査で、後円部にある約8mの竪穴(たてあな)式石室から内行花文鏡(ないこうかもんきょう)や三角縁神琴鏡(さんかくぶちしんきんきょう)を含む鏡4面、玉類、琴柱形(ことじがた)石製品や石釧(いしくしろ)、貝釧、多量の鉄製武器類、短甲などの武具、また銅鉱や巴(ともえ)形銅器など豊富な副葬品が、未盗掘のまま出土していた。高根山・稲荷山・秋葉山古墳は1997年(平成9)からの調査の結果、墳丘の規模や構造が明らかになり、埴輪(はにわ)や壺形土器類も出土し、御厨堂山古墳は1896年(明治29)に鏡や鋼釧、鉄鏃(てつぞく)、須恵器(すえき)類が出土しているが、発掘調査で3つの主体部が確認された。御厨古墳群にはこれら5基のほかにも数多くの古墳があり、磐田原台地東南部が古墳時代に有力な地位を保っていたことを示し、遠江(とおとおみ)地方の古墳時代を考えるうえで欠くことのできない古墳群であることから、2001年(平成13)に国の史跡に指定された。JR東海道本線磐田駅から遠鉄バス「神明前」下車、徒歩約5分。