古墳時代(読み)コフンジダイ

デジタル大辞泉 「古墳時代」の意味・読み・例文・類語

こふん‐じだい【古墳時代】

古代日本で、古墳が盛んにつくられた時代弥生時代に続き、3世紀末ごろから7世紀ごろまで。階級社会が成立し、特に大和政権中心とする政治権力が強まった。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「古墳時代」の意味・読み・例文・類語

こふん‐じだい【古墳時代】

  1. 〘 名詞 〙 古墳が造られた時期をいう考古学用語。彌生時代に続き三世紀末から七世紀ころまでをさす。日本古代国家がこの時期に成立し基礎づけられた。その背景の生産手段も、稲作、金属器使用により上昇、階層分化による権力者の出現が高塚古墳を生んだが、六、七世紀にはかなり一般化し、群集墳が各地にできた。仏教伝来大化改新の墓制改革で、関東、東北の一部を除き築造されなくなった。考古学上は前・中・後の三期に分けるが、それを二期にする説もある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「古墳時代」の意味・わかりやすい解説

古墳時代【こふんじだい】

弥生(やよい)時代に続き,大和朝廷が日本国家の統一をなした3世紀後半―7世紀の時代。多くの大型古墳が造られたことは,鉄器の普及と農耕生産の向上に伴い社会的身分の差が生じたことを意味するとされる。この時代は国家的統一の進行につれ,その統治機構,文化内容に変化が認められるため,ふつう前・中・後期の3期に分けられる。前期の古墳は山稜上に位置し,形態は円墳と低く細い前方部をもつ前方後円墳で,畿内に集中している。副葬品には宗教的・呪術(じゅじゅつ)的色彩の濃いものが多く,鉄製農工具もみられる。このことは被葬者が共同体の司祭者的存在に近く,同時に生産機能の集中的体現者でもあったことを示している。中期になると古墳は平野に移り,仁徳陵などにみられる2重3重の濠(ごう)をもつ大古墳が出現。副葬品は武器,武具馬具,金・銀の工芸品などの石製模造品となり,被葬者が司祭者から政治的支配者に変わったことがうかがえる。後期には古墳が山の斜面にも作られるようになり,規模は総体的に縮小したが,数は増加した。また主体部が従来の竪穴(たてあな)式石室から大陸風の横穴式に変わり,多人数を合葬したものが出現。これらは被葬者がごく少数の支配者のみならず,大陸文化の影響で生じた官僚階級に広がったことを意味するものと思われる。したがって権威の象徴としての側面をもつ古墳は存在価値が薄れ,仏教思想の普及もあって次第に消滅した。
→関連項目飛鳥時代石製模造品直弧文鉄器鉄鏃陶棺銅鏃同笵鏡日本日本人木棺弥生時代横穴

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「古墳時代」の意味・わかりやすい解説

古墳時代
こふんじだい

考古学上,日本において弥生時代に続く時代をいう。この時代には壮大な墳丘をもった墳墓,すなわち古墳が全国各地に造られていたので,それが時代の名称となった。その始まりと終末は明確ではないが,一応3世紀末ないし4世紀初頭頃から飛鳥時代,すなわち7世紀頃といわれている。この時代は巨大な古墳や,そこに埋蔵された多様な副葬品などから考えて,権力や富の集中があり,やがて小国家の発生から統合された一つの国家へと発展していったと考えられている。その中心である畿内から勢力が全国各地へ広がっていった過程の研究にも古墳が重要な資料となる。また,その副葬品から,前の時代にも増して大陸との交渉が盛んであり,日本の古代文化の形成にとって中国,朝鮮の影響が大きかったことがわかる。 (→古墳時代人 )

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

防府市歴史用語集 「古墳時代」の解説

古墳時代

 近畿地方に前方後円墳[ぜんぽうこうえんふん]が造られはじめた3世紀後半から7世紀代までを古墳時代と言います。

出典 ほうふWeb歴史館防府市歴史用語集について 情報

旺文社日本史事典 三訂版 「古墳時代」の解説

古墳時代
こふんじだい

3世紀末ごろから7世紀末ごろにかけての古墳が築造された時代。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の古墳時代の言及

【古代社会】より

…これに対して水田耕作は弥生時代以後の人々の生活に決定的な役割をあたえた。もちろん弥生時代人も,その後の古墳時代,奈良時代等々の人々も,その生活の基盤がすべて水田耕作にあったわけではなく,狩猟や漁労,採取経済にもかなりの部分依拠していたことはまちがいない。弥生時代についていえば,銅鐸にみえる狩猟の図や出土する多量の石鏃はその一端を示している。…

【古墳】より

…一般的な意味で古墳とよびうる墳墓は,世界各地において国家的統一の初期に出現している。日本では弥生時代につづく時代に,古墳の築造が盛行したので,その時代を古墳時代とよんでいる。そこであらためて,古墳という語は,世界中に通用する普通名詞であるのか,日本の古墳のみをさす固有名詞に近いものか,という問題が生じてくる。…

【古墳文化】より

…古墳時代は弥生時代に継続する時代である。弥生時代に始まった農耕生活は,比較的はやく,日本の大部分の地域にひろがっていったが,さらに鍬,鎌などの農具に鉄の刃先を使用するようになるまでには,若干の年月が経過した。…

【墳墓】より

…遺体あるいはそれを納めた棺は,そのまま床下,屋外,野外,洞窟,岩陰などに土葬することもある。また,崖や斜面にうがった横穴(よこあな)やそれに続く墓室(中国後漢代の崖墓(がいぼ),日本古墳時代の横穴),垂直に掘り下げてから水平方向に掘った横穴(南ロシア青銅器時代の地下式横穴墓,宮崎・鹿児島県の地下式横穴),地下の坑道の壁面にうがった横穴(ローマの初期キリスト教徒の墓所であるカタコンベ)に納めることもある。石,塼(せん),木などで構築した墓室内に棺を納めることも多い(石室塼室墓)。…

※「古墳時代」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android