改訂新版 世界大百科事典 「御祈禱所」の意味・わかりやすい解説
御祈禱所 (ごきとうしょ)
将軍や大名や天皇や公家がそれぞれ祈禱を命じる指定寺院。中世・近世に諸国に存在し,密教系と禅宗の名刹が多い。平安時代にはじまる天皇や公家の御祈願所(寺)に対して,御祈禱所は〈鎌倉殿御祈禱所〉〈将軍家御祈禱所〉の名称で鎌倉初期から武家の祈禱指定寺院として,はじめて史上に現れる。しかし,すでに鎌倉期から両者の呼称は混同され,同じ寺院が両様の呼称で呼ばれるようになり,将軍だけでなく諸大名の御祈禱所寺院も現れる。祈禱の内容は泰平,戦勝,治病,安産,延命,豊作,祈雨,菩提など多様であり,祈禱主は寺領寄進や安堵(あんど),建物の造営や修理など種々の特権と保護を寺院に与えた。
→御願寺(ごがんじ)
執筆者:藤井 学
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